あたし、いけない恋をしている/扶桑社、2014

あたし、いけない恋をしている/扶桑社、2014

江戸時代、鎖国の日本で唯一世界に開かれた港町、長崎。
オランダ渡来の学問に魅了される町娘・つるは、出島に居留するオランダ人医師・ハンスに心を惹かれている。
気さくな二枚目で、オランダ人と交流する通訳や学者たちからの信頼も厚いハンス。
彼もまた、つるを愛していた。
二人は人目を忍んで逢い引きを繰り返す。
けれど、その恋は掟破りの重罪。
発覚すれば、厳しい罰が下される。
「ばってん、あたしはハンスさまば愛しとる・・・」
港町を濡らす梅雨空の下、互いの愛を確かめ合う二人。
ある日、長崎奉行所の役人が大けがを負い、その治療のため、出島からハンスが呼ばれた。
つるを助手に、ハンスは手際よく手術を完了する。
そして、治療費代わりに差し出されるのは、つるの体。
それでも、つるは嬉しかった。
愛する人に抱かれるのだから・・・。
しかし、やがて秋になれば、ハンスはオランダへ帰帆しなければならない・・・。
異国情緒ただよう長崎の町を舞台に語られる、切ない歴史ロマンス。
〈カバーイラスト:尾崎まさこ様〉